株式会社チップトン電池の正極材となる前駆体粒子を、狭い粒径分布と高い球形度で製造する装置の提供

電池はご承知のとおり、正極材、負極材、及び電解質で構成され、その化学反応で電気を生み出します。 電気自動車(EV)やスマートフォンではリチウム二次電池がその性能の高さから採用され、より高性能な電池が求められています。 リチウム二次電池では正極材が電池の容量と性能を左右します。この正極材を得るには、ニッケル、マンガン、コバルト等から金属前駆体をつくり、これにリチウム前駆体を混合して焼成する方法があります。 この際の前駆体粒子の粒径分布のそろい具合、サイズ、形状が、電気的特性のカギを握ります。当社は、粒径分布が狭く(そろっていること)、且つ球形度の高い前駆体粒子の製造装置を提供しています。

テイラー渦流とは
事業内容

テイラー渦とは図に示すように、固定外筒と、その内部に同軸状に配置した回転内筒との間の微小空間(反応空間)に流体を満たし、内筒を回転させたときにある条件下で生じる“渦流”をいいます。反応空間に、例えば2種の液体(A液,B液)を一端から連続供給すると、回転軸方向に1組の逆向きの「リングペア渦列」(テイラー渦)ができます。1つのリング渦内で2液が混ざりながら、リングが反応空間を軸方向に移動して他端から連続排出されます。外筒と内筒の間の狭小な反応空間にて2つの液体が接触することで瞬時に混ざり合い、反応空間全域で均等に混合されます。滞留時間の調整により2液の混合状態を制御することもできます。正極材となる前駆体粒子を得るには、ニッケル、マンガン、コバルト等の金属溶液とリチウムからなる金属溶液(以上をA液とする)とを供給して混合し、さらに錯体形成溶液(B液とする)を加えて混合液中に前駆体粒子となる結晶を析出させます。液中の結晶粒子はその後、抽出、乾燥、焼成を経て正極材用粒子となります。

従来技術は
事業内容

従来の製造方法で前駆体粒子を得るには、図に示すような単釜を使用していました。単釜内にニッケル、マンガン、コバルト等の金属溶液とリチウムからなる金属溶液(以上をA液とする)を満たし、そこへ錯体形成用水溶液(B液とする)を加えてプロペラの撹拌により混合していました。この反応により、混合液中に前駆体粒子となる結晶を析出していました。
しかしながらこの方法では、プロペラの周辺だけで結晶が析出し、プロペラから離れた内壁ではなかなか析出しませんでした。このため全体に結晶が析出するまで時間がかかりました。また、収率を上げるには結晶サイズの中央値が目標サイズになるまで成長させなければなりません。そうすると、粒径分布の広い非球形状となり、求める電気的特性が得られなかったり、生産に時間がかかったりする問題がありました。

テイラー渦流式連続晶析装置
製品・サービス紹介

以上のとおり、単釜では粒径分布の広い10~100μmの結晶粒子となりましたが、連続生産のテイラー渦では、狭小な反応空間で液体が瞬時に混ざり、内筒の回転軸方向に短時間で押し出し生成されるので、粒径分布の狭い10μm前後の結晶粒子を高収率で得ることができます。
当社が提供するテイラー渦流式連続晶析装置を図に示します。
テイラー渦流式連続晶析装置には、反応空間の容量別に0.01L、0.1L、1Lの3つのラインアップがあります。
従来の単釜式が1回分のバッチ生産であるのに対し、本装置は一端から出発原料を投入すると他端から混合液が連続して排出されるので、連続生産工程を構築することができます。

皆さまへのメッセージ
その他(取組内容、メッセージ等)

当社ではテイラー渦流式連続晶析装置のデモ機を取りそろえています。
専門のテスト担当員が付いて、お客さまが試作テストできる環境を用意しています。
また、デモ機の貸し出しにもご対応しています。
まずは資材を持ち込んでデモ機によるお試しテストをしてから装置の導入をご検討することをお勧めします。

企業・機関情報

企業・機関名 株式会社チップトン
所在地 〒457-8566 愛知県名古屋市南区豊田三丁目19番21号
ホームページ https://www.tipton.co.jp/